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ショー・マスト・ゴー・オン“The show must go on !”の意味とは?

今回は、日本中で話題騒然、キムタ、ある人がインスタグラムに投稿し、その後、すぐに削除された“show must go on !”ついて、英語を自習する昭和生まれとして、あれっ、と思うことをお話ししたいと思います。

そのインスタグラムの画像は、現在では削除されているらしいですが、現在でも見られるSmart FlashのURLを載せてあります。いつまで見られるか分かりませんが、興味がある方は、そちらからご覧になってみてください。

「何を勘違いしてるんだろう」木村拓哉、ジャニーズ会見後の『show must go on』投稿に非難相次ぐ - Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]

この記事を読むと、The show must go onについて分かるようになるかも知れません。

動画版も良かったらどうぞ。

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1. Theがある。

show:ショー。見世物。演劇、映画など。

カタカナ語になっているので、まぁ「ショー」でよいでしょー。

日本語では、ショーと、平たく伸ばしますが、英語では、ショウと、ウが最後に発音されます。

1954年のミュージカルで、『ショウほど素敵な商売はない』という作品があります。(あれっ、このタイトルよく見たら、、ショウと、商売の商が韻を踏んでるんですね。原題のnoとshowが韻を踏んでいるからでショウ。オシャレですねぇ。なので、ショウという表記が今では古くさい感じがしますが、英語の音に近いのはこちら。

いまここで演じられているショー、ということで、特定されています。
なので、本来、theがあるんです。

このことわざ、というか俗語というか、まぁこの表現は、Wikipedia英語版によれば19世紀のサーカスから始まったらしいです。

動物が逃げようが、パフォーマーが怪我しようが、観客のために、ショーを続けようと。

それが、のちに、他のショービジネスに広がって、映画やテレビ・ラジオなどの放送は20世紀になってからですからね、現在に至るということのようです。

The show must go on" is a phrase in show business, meaning that regardless of what happens, whatever show has been planned still has to be staged for the waiting patrons. There is no evidence to suggest that it is the abbreviation of a longer phrase.

The saying and principle are traditional in the theatre, but they both originated in the 19th century with circuses. If an animal got loose or a performer was injured, the ringmaster and the band tried to keep things going so that the crowd would not panic because "it is a point of honour not to let the other players down by deserting them when no understudy is available".

Later on, the phrase was more broadly applied to the hotel business and show business in general. Eventually, the phrase was used to convey the idea that an event or activity must continue even if there are problems or difficulties, with or without regard to actual show business.("The show must go on "- Wikipedia)

というわけで、the show must go onは、今、ここで、演じられているショーを指すので、定冠詞theがあるんです。

今回の件の報道で、the show must go on.ということわざというか、俗語というか、標語というか、まぁ、この決まり文句が日本中に知れ渡りました。

『中日スポーツ』を引用します。

「show must go on」は喜多川元社長が所属タレントに伝えてきた信念として知られる有名な言葉で、「一度始めてしまったら何があっても続けなければならない」という意味。(木村拓哉、会見直後の”ジャニーズイズム”投稿が波紋「3人の会見が台無し」「推しだったけどこれはひいた」『中日スポーツ』2023年9月8日 10時19分)

ある芸能人が、インスタに投稿した内容を『』内で、その表記のまま引用しています。

「show must go on」

この4つの単語を、記憶に留めていただけると、このあと話が速いです。

それで、その訳として「一度始めてしまったら何があっても続けなければならない」としています。

いやその「一度始めてしまったら」って、この少ない単語のどこに書いてあるの~、と疑問に思いますが、theが、実際に始められたショーを指すからでしょー。

・・・

ただしthe showの範囲と対象は、話し手の主観によって変わります。劇場だけでなく、スポーツやビジネス、人生などの一般的な状況にも使えます。

例文を見てみましょう。

A: I heard about your breakup. How are you?
B: It’s tough, but the show must go on.

けなげです。

こんなつらい時にも使える表現なので、それで「ショー」に限らない「一度始めてしまったら何があっても続けなければならない」という訳は、間違いというわけでもないんです。

"The show must go on."とにかくこれは、決まり文句です。
辞書に、そのまま載っています。

三谷幸喜さんが書いた舞台作品にも、『ショウ・マスト・ゴー・オン』という題名のものがあります。2022年にも上演されたようですが、そのときのポスターを見ると、日本語の題名表記では、theを省略していますが、英語表記では、しっかりtheが書かれています。

そうそう、世界に知れ渡るロックバンド、クイーンの楽曲でも、”The show must go on”というのがありました。1991年にリリースされた、クイーンの実質、最後のアルバム『イニュエンドウ』(「暗示、ほのめかし、あてこすり」の意味)に収録されています。

私がクイーンのファンになったのは、フレディが亡くなった後だったのですが、フレディの病気の進行を知ってから、この曲を聴くとせつなくて・・・(涙)

フレディは、”Show must go on”と、theを外して歌っています。それによって、命の限界を認知したフレディが、フレディのというか、クィーンの音楽という枠を外し、もっと不偏で、壮大な、エンタテイメントだけでなくて、人々が生きているこの世界そのものをshowと表しているようにも感じます。

以下はクィーンオフィシャルYouTubeです。是非、クィーンのThe show must go onをご覧ください。もう、涙なくしては聴けません。

まぁシェイクスピアも、「この世はすべて舞台、男も女もみな役者にすぎない」All the world’s a stageと『お気に召すまま』の中で言ってますからねぇ・・・。

All the world’s a stage,
And all the men and women merely players;
They have their exits and their entrances,
And one man in his time plays many parts,
(The Project Gutenberg eBook of As You Like It, by William Shakespeare)

話を戻しますと、このtheがあるかないかって、結構、深いんですよね~。

キムタクが、いえ、この言葉を投稿し、即日削除した方が、それを狙っていたかどうか・・・

2.文は大文字で始める。

英語の文は、大文字から始めます。

まぁ、たとえ、定冠詞theを省略したとしても、英語の文は大文字から始めます。

そもそも文って、何?というところですが、主語と動詞があるものを文と呼びます。

主語:(the) show、
動詞:must go on
must:助動詞 この文脈では、~しなければならない
go on:句動詞 続く、続ける。2つ単語セットで、1つの動詞のように機能します。

ということで、文型で言えば、第一文型SVです。

れっきとした文なんです。

まぁ、インターネットが普及してから、やっぱり文頭を 大文字で始めるのが面倒くさいからか、小文字から始めるネイティブの書き込みも、よく見かけるようになりました。

大文字にするのが、面倒くさかったんですかね、キムタク

3. そのスペースは不要

英語の句読点をpunctuation markと呼びます。

種類は様々ありますが、日本人になじみのあるものとしては、普通の文末につかうピリオド、疑問文の時に使うquestion mark、驚き、恐怖、喜びなど、感情を強く表す感嘆符(exclamation mark)、ビックリマークを使います。

This is a pen.
Is this your pen?
It's mine!

これらは記号です。

英語では、単語と単語の間にスペースを置きます。

ピリオド、クエスチョンマーク、エクスクラメーションは記号です。単語ではありません。

記号の直前にスペースはいりません。

記号の後に、続けて何かを書くときには、記号の後に、スペースを1つ置いてから、続けます。

記号の直前にスペースはいりません。

普通の文でも、疑問文でも、感嘆文でも、最後の単語を書いたら、スペースを置かずに、すぐ記号を置きます。

まあ、身も蓋もないことを言っちゃうと、このエクスクラメーションマークって、全角に見えるんですよね。(英語は、数字・記号を含み、通例、半角で書きます)

もしかしたら、!をあえて変換させたんじゃないかと。それで、全角になって本来、半角で入れるべき記号が、全角になってしまった。

それで、最後の単語onの後に半角スペースが入っているように見えるんじゃないかなとも思います。

まとめ

1. Theが必要
2.文頭は大文字で始める。
3.エクスクラメーションの直前にスペースは不要。

というわけで、例の表記を適切に書くならば・・・

The show must go on!

 

【参考資料】

・「イニュエンドウ」Wikipedia. https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%82%A4%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%A6&oldid=95690851
・シス・カンパニー『ショウ・マスト・ゴー・オン』ポスター
https://www.siscompany.com/produce/lineup/showmust/flyer.pdf
・『中日スポーツ』(木村拓哉「show must go on」訳)
https://www.chunichi.co.jp/article/765094
・"The Show Must Go On" クイーン・オフィシャルYouTube


・Smart Flash(木村拓哉インスタグラム投稿画像)
https://smart-flash.jp/entame/251562/image/1/?rf=2
・"The show must go on" Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/The_show_must_go_on#cite_ref-1
・W. Shakespeare As You Like It(『お気に召すまま』原文、訳は投稿者らいむらいむによる)
The Project Gutenberg eBook of As You Like It, by William Shakespeare

【画像】
"Illustration of the Merchant of Venice, act 1, sc. iii, being performed in an Elizabethan theatre." https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Imaginary_view_of_an_Elizabethan_stage.jpg
https://luna.folger.edu/luna/servlet/detail/FOLGERCM1~6~6~527471~138857:Illustration-of-the-Merchant-of-Ven;JSESSIONID=c4010247-6c8b-4ae5-8113-48120f62f1ca?trs=1&qvq=q%3ACall_Number%3D%22ART+Box+H688+no.3.1%22%3Bsort%3AROOTFILE%2CAuthor%2CCD_Title%2CImprint%3Blc%3AFOLGERCM1%7E6%7E6&mi=0&cic=FOLGERCM1%7E6%7E6&sort=ROOTFILE%2CAuthor%2CCD_Title%2CImprint
Jean Ignace Isidore Gérard Grandville, Public domain, via Wikimedia Commons. https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Grandville_Les_Myst%C3%A8res_de_l%27infini_3.jpg.